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2021年4月30日

IPO準備中の起業家、CFOを目指す会計士、必見!! IPO準備会社で必要となるCFOの心構えとは?(前編)

左:宮崎良一 中:土谷祐三郎 右:江黒崇史 Retty株式会社本社にて

今回のIPOメディアは現在Retty株式会社(東証マザーズ上場企業)で、執行役員CFOを担う土谷祐三郎さんへのインタビュー記事を前編・後編に分けてお届けします。
IPO準備中の起業家はCFOをヘッドハンティングする上で、CFOを目指す会計士は今後のキャリアを検討する上で、非常に参考になるエッセンスが詰まっていますので、ご期待ください。

それでは、インタビュー記事に入っていきましょう。
本日の主役はこの方です。

土谷 祐三郎
Retty株式会社 CFO 土谷 祐三郎

<土谷祐三郎氏のこれまでのキャリア>
監査法人トーマツ(監査業務)→株式会社コーポレートディレクション(戦略コンサルティング)→ACA株式会社(投資ファンド)→株式会社ホットランド(CFO業務)【2014年9月30日マザーズ上場】→Retty株式会社(CFO業務)【2020年10月30日マザーズ上場】

INTERVIEW

二度のIPOをCFOという立場で達成された土谷さんが考えるCFO像とは

司会 早速ですが、現在多くの若手がキャリアの一つとしてCFOを考えています。ホットランド、Rettyと二度のIPOをCFOという立場で達成された土谷さんが考えるCFO像とはどのようなものでしょうか。

土谷 そうですね、そもそもですが、CFOという言葉は20年ぐらい前には余り聞かなかったですが、ここ5~10年ぐらいで認識され始めた言葉だと思っており、今後もどんどんと時代と共に進化していくものと思っています。
その前提で、最近のベンチャー企業の兆候を見てみると以下の3つの流れがあるのではないでしょうか。

  • ・第1フェーズとして、ベンチャーフェーズ
  • ・第2フェーズとして、IPO準備~達成フェーズ
  • ・第3フェーズとして、IPO後の成長フェーズです。

第1フェーズは、事業を軌道に乗せるために必要となる資金調達が得意な方がCFOに向いていると思います。
会社が初期の段階では、管理系の業務よりも資金調達業務の方が大事です。むしろ、この段階で下手に管理系を強化してしまうと会社の勢いや良さなどを失わせてしまう可能性もあると思います。
このフェーズでのCFOは、多額の資金調達ができる力が重要で、具体的にはファイナンスの知識や資金調達に関する人材ネットワーク力、投資家と同じ目線でコミュニケーションができる力などファイナンスバックグラウンドを持つ投資銀行やVCなどにいた方などが向いていると思います。

第2フェーズは、企業のIPO達成に向けてCFOとして企業の組織化や管理強化のできる方が向いています。ここは監査業務経験のある公認会計士やバックオフィス経験のある方がよいかと思います。
また、第二フェーズであっても企業は資金調達することがあるでしょうし、IPOに向けたエクイティストーリーの作成やIPO後の機関投資家などとのコミュニケーションも必要になる為、こういった業務もCFOに求めるようであれば上述の資金調達力やプレゼンテーション力などが追加的にCFOに求められます。

第3フェーズは、IPO後で株価向上に向けて投資家・株主と対話できるIR力のある方や近年増えている海外での大型資金調達などができる方がCFOとして求められていると思います。

CFOというポジションですが役割は一つではなく、企業のステージによって細分化されてきていると思います。また一人で全部を担当するのではなく管理体制強化の得意な方、資金調達の得意な方などで役割を分担していくのも良いのでは、と感じております。ただ、どのフェーズにおいても役割分担したとしても、カルチャーフィットや経営者マインドは確実に求められると思っています。

江黒崇史

インタビューアー 江黒崇史

INTERVIEW

プロ意識やプライドを持って業務に向き合い、今のやるべきことをやり切るという想いが大事

司会 なるほど、確かに企業の成長ステージに合わせてCFOの役割も変わっていくのでしょうね。土谷さん自身は監査法人から戦略コンサルティング、投資ファンドというキャリアを経てCFOに就かれてますが、このキャリアはどのような想いがあったのでしょうか。

土谷 そうですね、自分の中では「キャリアの掛け算」ということを意識していました。

まず、自分のキャリアは公認会計士として監査法人からスタートしているので、アカウンティングの軸として一本深いものがありました。 でもこのアカウンティングのキャリアだけであれば世の中に何万人もいます。その何万人の中でトップを狙うことは正直難しいと考えましたし、自分としてそこまでアカウンティングの専門家として極める覚悟もありませんでした。

一方で、そのアカウンティングという軸に「何かを掛ける」ことで何万人といる世界から数千人、数百人という競争世界になるだろうとも考えました。そこでアカウンティング軸から横に広がるキャリアはないものかと考え、その時に参考にしたのはMBAの科目でした。MBAは、アカウンティング以外にも戦略、マーケティング、ファイナンス、組織、人的資源など経営を学問的に学ぶ上で必要な科目が全て揃っていると考えました。

一般的には、公認会計士などアカウンティングのバックグラウンドを持っている場合は、アカウンティングから広げやすいファイナンスに行く傾向が強かったのですが、自分は経営の上流である「戦略」に行こうと考えました。自分の中ではこれまでのキャリア軸に近い領域に行くのを滲み出し戦略、遠い領域に行くのは飛び地戦略と区分しており、20代のうちは経験を広げる為により遠い領域にいくのが良いかと思っていました。その意味では、アカウンティングは経営の結果を記録するものであり、戦略はその最上流である経営を生み出すものだと考え、最も遠い領域だと考えました。この頃、「戦略」に関する知識は全くなかったことから監査法人時代に様々な本を読んだり、経営大学院に科目別履修もしました。そして、監査法人から戦略コンサルティングへの転身をしました。

その後、人の出会いから投資ファンドに進み、さらにその投資先への出向という形からホットランドに出会い、CFOとして上場を果たしました。

宮崎良一

インタビューアー 宮崎良一

司会 土谷さんはCFOを目指して、キャリア選択をしてきたわけではないのですね。

土谷 はい、「CFOを目指しています」「CFOになりたいです」という相談されることが多いのですが、正直、自分の事例は余り参考にならないかなと思います。これまでの転職や業務について、より広い経験が出来てそして楽しそうだと思えるものを選択し続けただけであって、その結果論としてたまたまCFOという立場になっただけで、CFOになるためにこれまでのキャリアを選択してきたわけではありません。もっと言うと、CFOという立ち位置であるものも今後も変わっていくかもしれません。

監査法人の次を考えるときは、先ほど申し上げたように「キャリアの掛け算」でどうすべきと次の方向性を考えていました。年収とかは度外視で考えていた為、最初の転職では年収も3割程下がり家族にも心配されましたが、若い時の経験は投資であり将来回収できればいい、と考えていました。年収よりもその後将来に活かせる経験やマインドなどを得られるのが重要かなと。自分の場合は、プロ意識を持って仕事をすることやその仕事をやり切る想いをそこで学べたことは非常に大事だったと思います。

何を経験すればよいのか、何を学べばいいのかは時代によって変わるでしょう。上述した通り、CFOの役割も変わっていくものと思います。
しかし、自分の内面や想いというのは不変です。自分自身のプロ意識やプライドを持って業務に向き合い、今のやるべきことをやり切るという想いこそが大事だと思います。

INTERVIEW

後期

江黒 監査法人勤務時代から「キャリアの掛け算」を強く意識していたという仕事へのプロ意識やプライド、やり切る想いを強く持つ、という土谷さんの姿勢に大変感銘を受けました。自分自身の仕事へ姿勢を再確認する貴重な学びの時間でした。

宮崎 力強いメッセージを頂けて、とても濃い有意義な時間でした。
会社は生き物であると言われる通り、そのフェーズに合わせてCFO職に求められる役割・期待も日々変化し、経営者はその流れを汲みながら適材適所でチームメンバーを編成し対応していく重要性を改めて感じました。

後編はこちら

江黒 崇史
江黒公認会計士事務所 代表 江黒 崇史

2001年公認会計士二次試験合格後、大手監査法人勤務、ベンチャー企業CFO、中堅会計コンサルティンググループを経て独立。IPO支援やM&Aアドバイザリー業務に従事。
ブリッジコンサルティンググループと多くの業務で協業。

宮崎 良一
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 代表取締役CEO 宮崎 良一

大手監査法人にて会計監査・IPO支援業務・内部統制支援業務・IFRS導入支援業務等、さまざまな業務を経験。 5年間の監査法人経験を得て、2011年10月に株式会社Bridge(現ブリッジコンサルティンググループ株式会社)を設立し代表取締役CEOに就任。 その後、多数の成長企業を中心に経営管理コンサルティング業務に従事。 人間関係を大切にし、クライアントと同じ立場にたち、当事者として全力で業務に従事することをモットーとしている。

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