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IPO準備中の起業家、CFOを目指す会計士、必見!!
IPO準備会社で必要となるCFOの心構えとは?(後編)

左:江黒崇史 中:土谷祐三郎 右:宮崎良一 Retty株式会社本社にて

前編では土谷さんの考えるCFOの役割や仕事へのプロ意識、キャリアに対する考え方を語っていただきました。
後編ではCFOとしての立ち振る舞い、他の経営メンバーとの役割分担、CFOに求められる「やり切る力」、さらにはCFOの口説き方について語っていただきます。

土谷 祐三郎
Retty株式会社 CFO 土谷 祐三郎

<土谷祐三郎氏のこれまでのキャリア>
監査法人トーマツ(監査業務)→株式会社コーポレートディレクション(戦略コンサルティング)→ACA株式会社(投資ファンド)→株式会社ホットランド(CFO業務)【2014年9月30日マザーズ上場】→Retty株式会社(CFO業務)【2020年10月30日マザーズ上場】

司会: CFOの中ではIPOに向けて奮闘されている方も多いです。IPOを目指す過程で経営陣、とくに社長と業務上対立してしまう、という悩みを多く聞くことがあるのですが、いかがでしょうか。

土谷: まず、CFOと社長との関係ですが、両者の思考や性格は合致する必要は全くなく、正反対でもまったく問題ないと考えています。むしろ正反対で業務上で対立してしまうぐらいの方が経営として安定するのではないかと思っています。

まずは、CFOという一人の経営メンバーとして会社にとって中長期的にどういう方向であるべきかを考えた上で「曲げられないポイント」「曲げてはいけない信条」を持ち続けるということが非常に大事だと思っています。その上で、そこに抵触しない範疇であれば、可能な範囲で社長を支援するという姿勢を保ち、抵触するようであればきちんと自分の意見を伝えて軌道修正を行っていくことが大事だと考えています。この時点で社長と似た思考や性格だと、お互いに同調するだけで終わってしまい、議論した上で会社を一段上の高みに上げるということが出来ないと思っています。

たとえば、IPOを目指す過程において、社長がこれまでのプライベートカンパニーと同じ感覚のまま、自分一人で全てを意思決定するなどといった会社運営をし続けようという事例が多く、CFOと衝突することも多いと思います。こういった場合でも、IPOするということはパブリックカンパニーになるということであり、本当にこれを実現するのであれば、組織的な意思決定に変更していく必要があるなどと社長と膝詰めで話し合い、きちんと納得してもらった上で、必要な管理体制構築やルール作成・遵守などを進めることに協力してもらうといったことは必要です。

一方で、会社にとって必要だが、社長ができないことや苦手なこともあると思っており、そこについてはCFOが経営メンバーの一人として積極的に動くことも重要だと思っています。つまり、経営メンバー間でそういった得意分野で役割分担をしてチームとして動くという意識が非常に大事だと思います。その意味でも社長と同質的過ぎないCFOが望まれると思っています。

土谷 祐三郎

土谷祐三郎氏

司会: IPOを目指しても残念ながら途中で断念してしまうケースも多いかと思います。そのような中、土谷さんはホットランドとRetty、2社連続でIPOを達成されました。このような結果を出すことができた一番の要因はなんだったのでしょうか。

土谷: そうですね。
「やり切る」ということを強く意識してIPO準備に取り組んだことではないでしょうか。この「やり切る」ということは業務上、非常に重要だと思っており、Rettyにおいてもメンバーの行動指針であるRetty WayにAll doneという項目で入っています。

ホットランドに実質的なCFOとして出向した際は、ホットランドと出向元のACAとの意見対立で出向していた自分を外す為の裏の取締役会が開かれたり、IPO準備の佳境の段階で経理部長が緊急で入院して戦線離脱するなど幾度となくハードシングスが訪れました。また、IPOを想定していた1年弱前に監査法人からも証券会社からもそのタイミングでの上場は難しいと言われたこともありしましたが、何としてでも「やり切る」という強い気持ちを持って取り組み、想定していたタイミングでの上場を実現できました。

RettyのIPOに関してもIPO直前に新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言でクライアントである飲食店が休業してしまい、IPOどころではなくなり、金融機関からの与信を確保するなど会社の存続の為に動かざる得なくなるなど様々なハードシングスが起きましたが、同様に「やり切る」という気持ちを持ち続け、緊急事態宣言が明けて半年程度で上場を達成できました。

IPOでは創業社長の意識がプライベートカンパニーからパブリックカンパニーに変わる必要があります。社長の心構えが変わっていくのがIPOでありCFOはそれを手助けする役割だと思っています。社長一人で経営した会社を組織的な経営に変えていく、社長はメンバーを信頼して業務を任せる必要があり、メンバーは業務が任せられるように自らが動き成長していく必要があります。社長としてはメンバーが業務を任せられるようにならないと業務を渡せないという思いがあり、一方、メンバーとしては業務が任せられないと成長機会がないという、鶏が先か卵が先か、という点もあり、組織的な経営に変えていくのにはかなりの年月が必要になります。こういったことも、CFOとして長期的な会社の成長のために「やり切る」ということが重要だと考えています。

江黒崇史

インタビューアー 江黒崇史

司会: CFOとしての「やり切る力」が重要だということは理解したのですが、その「やり切る力」を得るためにはどのようにすれば良いのでしょうか? 過去の経験談を踏まえて教えてください。

土谷: そうですね。
とても恥ずかしい話ではありますが、監査法人時代、自分は比較的若い年齢で重要な仕事を任せて頂き、また周りの環境にも恵まれていたので、自分に自信がつき、ある意味、天狗になっていました。
しかし、戦略コンサルティング会社へ転身した際、監査法人時代に身に着けた思考方法や経験などがほぼ役に立たず、むしろその思考方法や経験が足かせとなる為にそれらをアンラーニングする必要すらありました。入社当初、同じ時期に入社した自分より遥かに若い新卒メンバーの方が自分よりも圧倒的に付加価値を出しているのを見て、自分のこれまでの経験や自信は何だっただろうと考えることが多く、この時期は本当に辛かったですね。ただ、どんな辛くても3年間は「やり切る」、3年後に成果を出せなければ辞めると自分にも家族にも宣言して転職しましたし、また、自分の中でこの経験はいつしかプラスになると自分に言い聞かせて努力し続けました。
それから1年ぐらいしてから、自分の中でそれなりに付加価値を出せるようになったと思う様に至り、結果として4年程度の期間、激務も含めて本当に様々な経験をさせて頂きましたが、自分が納得するまでやり切ったということで自分にも自信が付きましたし、やり切った上で違う景色が見えたという経験をしました。これが原体験になるのではないかと思っています。

ホットランド出向時でも創業社長である佐瀬社長とは何度もぶつかることがありましたが、「あっ、これって将来絶対笑いのネタになる」などと自分を第三者的に見るようにして粘り強く対応しました。その結果、佐瀬社長とは、いつしかお互いを理解しあえる関係になり、今でもたまに色々な相談を受ける関係が継続しておりますが、その当時のやり取りがあったからこそだと思っています。特に「やり切る」力については、飲んだ席などでよく「あの状況でIPOさせるなど、お前のやり切るところは本当に凄い」と言っていただいています。

これまでの経験を踏まえた今では、「辛い思いは将来の幸せへのスパイス」と思えるまでになっています。つまり、そういった辛い経験は、その先の目標を達成した際に、何倍の喜びになって返ってくると思っています。実際、ホットランドの上場過程において上述の通り本当に様々な辛い思いを何度も経験しましたが、上場した際はそれらがあったからこそ、より強い喜びや幸せに繋がったと思っています。ちょっとMっぽい思想かもですが(笑)

「やり切る力」は、登山と同じで「やり切る」を一歩一歩積み重ねることでしか得ることができず、目の前の課題をひとつひとつ丁寧に対応していくしかないと思います。
そういった辛さや大変さを乗り越えていくためには、自分を第三者的な立ち位置で見つめなおして上述のような今の辛さをネタに変えるといったことやゴール時におけるイメージを想像するなど常に今の辛さから逃げずに自分を立ち向かわせていく必要があると思っています。

宮崎良一

インタビューアー 宮崎良一

司会: さて、多くの経営者が「やり切る力」が高いCFOにメンバーインして欲しいという想いを持っていると思いますが、そんな「やり切る力」が高いCFOにメンバーインしてもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。

土谷: 経営者は、「巻き込む力」を発揮することが一番の近道だと思います。人と出会えたチャンスを見逃さず、この人は!と思ったら「三顧の礼」の気持ちをもって、その人と一緒にやりたい、と何度も何度も口説いて、会社に巻き込んでいくことが大事です。

実際、私もRettyに入社する場合に半年以上に渡って口説いて頂きました。
社内メンバーを随時紹介してもらったことはもちろん、時には飲食店への営業にも同行させてもらい、会社内部のことだけでなく、会社サービスについて積極的に共有してもらい、意見交換を沢山重ねました。

そうしているうちに、当初は全くもって転職する意思はなかったのですが、「この会社、自分ならこうしていきたいな、自分ならこういったことが出来るな」と自然に思うようになり、気づいた時にはジョインしていました(笑)。武田の戦略だと思いますが(笑)

昨今は、コロナ禍でもあり優秀な人に出会える機会は少なくなっているかとは思いますが、アンテナを高くして出会えた機会を大切に巻き込んでいくことに尽きると思います。

左:土谷祐三郎 中:宮崎良一 右:江黒崇史

司会: 最後に、CFOを目指している方や自身のキャリアに悩んでいる方等に向けてアドバイスをいただければと思います。

土谷: 前述もしましたが私の場合、CFOを目指していたわけではなく「キャリアの掛け算」を考え、行動してきた結果、単に今がCFOという役割になっただけであって、そもそもCFOを目指したいという方へのアドバイスは正直難しいです(苦笑)
言えることは今の自分の立場関係なく、常に経営者として物事を考える経営者マインドが非常に大事だと思います。そして経営の一員としてきちんと付加価値を出せるために、幅広く、そして何か1つでも深い知識や経験は必要になると思います。

そのためには例えば、監査法人の会計士であれば、既に会計という1つの深い知識を持っているので、幅広い経験をする為に一度事業会社へ飛びこんでみるのもいいでしょう。もちろん戦略コンサルティング会社でもいいです。
監査法人の方ですと給与が下がることを懸念して転職に足踏みする人もいますが、20代は絶好の自己投資の機会であり、そこで経験の幅を広げることでその後の30代以降で徐々に回収するぐらいの気持ちで良いと思っています。自分の場合は、監査法人で安定したキャリアの方が正直、危機感があり自分のキャリアについての軸を考えていました (前半参照)

会計士キャリアでやっていくのであれば特殊性を身につけたり、よりニッチな方向を目指したりすることがよいと思います。それこそ会計士×英語力では大勢いるでしょうから会計士×スワヒリ語などがいいのではないでしょうか(笑)。

司会: 土谷さん、長い時間にわたりインタビューありがとうございました!

後期

江黒: 創業社長と激論を交わす中でも「自分の中で曲げてはいけない信条を持つ」強い姿勢や経営陣の一員として「こうすれば会社がもっと良くなる」という想いを持つ、など土谷さんのプロ意識を多く学ばせていただきました。
貴重な機会を本当にありがとうございました。

宮崎: 「やり切る力」は、「やり切る」を積み重ねることでしか得ることができない。深く自分の胸に突き刺さりました。
土谷さん、ありがとうございました。

江黒 崇史
江黒公認会計士事務所 代表 江黒 崇史

2001年公認会計士二次試験合格後、大手監査法人勤務、ベンチャー企業CFO、中堅会計コンサルティンググループを経て独立。IPO支援やM&Aアドバイザリー業務に従事。
ブリッジコンサルティンググループと多くの業務で協業。

宮崎 良一
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 代表取締役 宮崎 良一

大手監査法人にて会計監査・IPO支援業務・内部統制支援業務・IFRS導入支援業務等、さまざまな業務を経験。 5年間の監査法人経験を得て、2011年10月に株式会社Bridge(現ブリッジコンサルティンググループ株式会社)を設立し代表取締役CEOに就任。 その後、多数の成長企業を中心に経営管理コンサルティング業務に従事。 人間関係を大切にし、クライアントと同じ立場にたち、当事者として全力で業務に従事することをモットーとしている。

※記事内容は、インタビュー実施時期に基いて作成しているため、会社名・役職等にその他一部の内容が現時点と異なる場合もあることをご了承下さい。

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