株式会社アクトビ
デジタルトランスフォーメーション支援のための、ソフトウェアの企 画・開発・運用、UX/UI デザイン、プロダクトの企画・開発・運用、 Salesforce の運用支援・開発・コンサルティング
「通過点」と語るTPM上場、その裏にあった覚悟と戦略とは?
創業者が過去にIBMへ550億円でEXITした経験を持つサイバーソリューションズ株式会社(以下、サイバーソリューションズ社)。
同社はIFRS開示を前提とした最短スケジュールでの上場という難易度の高い挑戦に取り組みました。
限られたリソースの中、外部専門家との連携をどのように進め、上場を実現したのか。土谷氏、新家氏及び早坂氏に、上場準備の舞台裏とブリッジコンサルティンググループ株式会社(以下、BCG)との関わりについて伺いました。
サイバーソリューションズ株式会社 執行役員 ファイナンス管理担当
土谷 祐三郎
2001年 有限責任監査法人トーマツの国内監査部門にて監査業務に従事。 2008年 株式会社コーポレイトディレクションにて戦略立案、業務改革、事業再生、M&Aなどを経験。 2011年 ACA株式会社に移籍。投資先の株式会社ホットランドホールディングスに出向し、上場を牽引するなど投資先のバリューアップに貢献。 2016年 Retty株式会社にCFOとして参画し、上場を果たすとともに、コーポレート部門の管掌や経営企画、IR業務等に従事。 2024年 サイバーソリューションズ株式会社に移籍。執行役員ファイナンス管理担当として3度目のIPOを実現。
サイバーソリューションズ株式会社 ファイナンス部 ファイナンス課 マネージャー 公認会計士
新家 健太
2014年に明治大学を卒業後、EY新日本有限責任監査法人に入所。監査事業部にて、大手上場企業の会計監査や内部統制監査業務などに従事。 2020年、UUUM株式会社に入社。経理部のリーダーとして部下のマネジメント、開示書類の作成、子会社設立、M&A案件の対応などに従事。 その後2024年、サイバーソリューションズ株式会社に入社。経理部マネージャーとしてIPO準備業務に従事。上場後は経理、IR業務に加え総務法務業務も統括する。
サイバーソリューションズ株式会社 ファイナンス部 ファイナンス課 財務・経理G
早坂 辰仁
大学卒業後、数社の事業会社を経て様々な業界で主に財務経理業務を中心にM&A対応、マネジメント経験等を積む。 2021年にサイバーソリューションズ株式会社に入社し、管理部にて財務経理業務及びバックオフィス全般を担当し、最初期からIPO準備業務に携わる。
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 コンサルティング事業本部 総合コンサルティング3部 シニアマネージャー
山本 光恵
大手監査法人・中小監査法人にて、法定監査業務、会計アドバイザリー業務等に従事。 多様な形態の法人の支援を通し、それぞれの法人が抱える課題解決に取り組む。 ブリッジでは皆様の様々なニーズに合わせたご支援を幅広く提供。
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 提携パートナー / 公認会計士
小林 拓矢
大手監査法人にて監査業務に従事後 、事業会社にてIPO準備や管理部門の立ち上げ、会計コンサルティング会社にてIFRS導入やPMI等のハンズオン支援を実施。 実務者と支援者双方の視点を活かし、理論に留まらない「実行ベース」の議論と可視化を重視した支援を提供。
Interview
土谷氏 代表の林は90年代に二つ会社を設立しました。一つがインターネットセキュリティシステムズ株式会社(以下、ISS社)で、もう一つが旧サイバーソリューションズ社でした。ISS社が上場を控えており、林はその経営に専念するため、旧サイバーソリューションズ社の経営権を当時の経営陣に譲りました。 ISS社は2001年に上場し、2006年にIBMへ550億円でEXITしています。一方、旧サイバーソリューションズ社は一時期業績が低迷し、株主から復帰の要請を受けて、林が会長として経営に関与するようになりました。その後10年ほど経ち業績が回復したタイミングで、「上場か売却か」という選択が議論される中、結果として林がファンドと組んで旧経営陣を含む既存株主から全株式を取得するためのMBOを実施し、現サイバーソリューションズ社としてIPOを選択するに至りました。
──550億円でのバイアウトという成功を収めながら、なぜ再び上場を目指したのでしょうか。
土谷氏 林には、前回の550億円を超えて「サイバーソリューションズ社を時価総額1000億円以上の会社に育てたい」というチャレンジ精神が強くあったと思います。また、共にやってきたメンバーに上場を通じて報いたいという気持ちや顧客に対しても責任を持ち続けるべきだという想いもあったと聞いております。
Interview
──土谷様が入社された時点での状況はいかがでしたか。
土谷氏 主幹事証券会社は大和証券にすでに決まっており、大和証券のコンサル部隊が関与している状態でしたが、早期に本格的な上場に向けた体制を整える為に引受部門へ切り替えていただきました。 一方、監査法人については、太陽監査法人と2004〜2005年頃からアドバイザリー契約を締結しており、その流れで監査契約へ移行しました。 少ない人員で最短の準備期間で上場すること、財務諸表をIFRSで開示することを選択したため、外部パートナーの協力は必須でした。そのため費用面や役割分担の観点から複数社を比較した上で、品質とコストのバランス、そして私自身がコントロールしやすい体制であることを踏まえ、BCGに依頼することにしました。 2023年末には証券会社・監査法人を交えたキックオフを実施し、最短スケジュールでの上場準備がスタートしました。
──IFRS導入は、どのような経緯で決まったのでしょうか?
土谷氏 当社はファンド支援によるMBOにより、すでにのれんや顧客関連資産があり、また上場後もM&Aを積極的に仕掛けていく方針だったため、最初からIFRSで開示することを決めていました。ただ私自身は経験がなかったので、専門家支援は必須でした。 IFRS対応は、上場準備の中でも特に専門性が求められる領域です。サイバーソリューションズ社では、BCGの支援を受けながらIFRS対応を進めました。ここでは、具体的にどのような課題があり、どのように乗り越えたのかを伺います。
Interview
──IFRS対応で、苦労された点を教えてください
早坂氏 私はIFRSについてほぼ知識がない状態からのスタートでした。GAAP分析を通じて、基準差異の把握まではできたものの、それを具体的な会計処理へ落とし込む工程が非常に難しかったです。 しかし、BCGの支援を受けながら進めることで徐々に理解が深まり、対応できるようになっていきました。
──支援する側として、意識されたポイントはありますか?
BCG小林氏 IFRSという明確な基準がある以上、どうしても教科書的な進め方になりがちです。しかしそれでは実務に落とし込みにくいと感じています。 そのため「どのように進めるか」という実行ベースの議論を重視しました。 また、まずドラフトを作成し、その後ブラッシュアップしていくという“見える化”を意識した進め方がクライアントの安心感につながると考えています。
──IFRS対応で初めて経験されたことについて教えてください。
新家氏 監査法人時代にIFRS適用している会社の監査を行った経験はありましたが、一からポジションペーパーを作成した経験はありませんでした。 私が入社した時点では、すでにある程度の作成が進んでいる段階でしたが、完全にゼロから作る状態であればかなり苦労したと思います。 また、単体IFRSの取り扱いも事例がごく僅かであり、判断材料が限られる中で進める必要がありました。そのような状況でBCGが会社側の立場で伴走してくれたことは非常に心強かったです。
──事例がない中での開示対応はどのように進めたのでしょうか。
土谷氏 証券会社や監査法人も慎重で、明確な解がない状況でした。各関係者が手探りで進める形となり、負荷は大きかったです。
BCG山本氏 支援する立場としても事例がなく、クライアントと共に学びながら進めました。 類似事例はないと思いながらも社内外で可能な限り調査し、最善の準備を整えて対応しました。
BCG小林氏 全員が「前例がない」という共通認識を持てたことが、建設的な議論の出発点になったと感じています。
Interview
早坂氏 当時は通常の経理業務に加え、IPO準備とシステム入れ替え、さらにIFRS対応を同時に抱えていました。 その中でIFRS検討をBCGに委ねられたことで、精神的・肉体的な負担が大きく軽減されました。内製だけでは、非常に厳しかったと思います。
──特に良かった点を教えてください。
新家氏 成果物のたたき台をゼロから作成していただけた点です。これを内製で行うのは現実的ではありませんでした。土台が整ったことで、新しい取引が発生した際にも「どこに何を追加すべきか」が明確になり、対応しやすくなりました。最初の一歩を支えていただいたことは非常に大きかったです。 上場準備において、管理体制の構築も重要な課題となります。サイバーソリューションズ社では、限られたリソースの中でどのように体制を整えていったのでしょうか。
Interview
──内製とアウトソースの検討はどのように行いましたか。
土谷氏 私は、開示関連業務の内製化には慎重な立場です。前職時代からの考えですが、社内業務と外部委託業務は明確に分けるべきだと考えています。頻度が低い業務や専門性の高い業務を社内で抱えると属人化のリスクが高まるため、外部に依頼した方が合理的です。 一方、月次決算のような定常業務は社内で担うべきです。当時の経理メンバーは早坂一名だったため、すべてを内製で対応するのは現実的ではありませんでした。
──前職(Retty株式会社にて取締役CFO)の経験が影響していますか。
土谷氏 大きく影響しています。前職では基本的にすべてを内製化していましたが、上場を果たした段階で管理部門の離職が重なり、体制が不安定になったという課題がありました。周りの知り合いの会社に聞いても、こういった事例は散見されます。 結果として、メンバーの半数以上が入れ替わりました。その後、専門性の高い業務を外部委託し、社内は汎用業務を見える化して専門性がなくても誰でもできる状況を作り、一人の社員が職種関係なく実施する体制へ再構築したことで、組織は安定しました。この経験が現在の判断基準になっています。 上場を果たしたサイバーソリューションズ社は、今後どのような組織体制で成長を目指していくのでしょうか。CFOの土谷氏に、管理部門の現状と今後の展望について伺いました。
Interview
土谷氏 上場後直ぐに、ファイナンス(財務・経理)と管理(人事労務・総務・法務・IT)を統合しました。前職と同様に縦割りを防ぎ、少人数でも職種の壁を超えて横断的に動ける体制を目指しています。 現在は社員6名でも運営可能な体制を目指しており、外部委託の活用を積極的に進めています。
──今後外部委託したい業務はありますか。
土谷氏 今後も積極的に活用しようと考えていますが、前職とは違い、今回は社内では高度な業務に集中し、定型的な作業は外部へ委ねる方針です。 具体的には、給与計算の前工程や集計業務、経理の一部定型作業などを外部へ移行し、その分社内では業務設計やAI活用による効率化などの高付加価値業務に取り組んでいきます。
──今後の事業展開について教えてください。
土谷氏 本業はストック型で安定成長が見込めるものの、M&Aを軸に非連続な成長を進めていく方針です。その際のPMIに対応できる余力を確保するためにも、既存業務の効率化は不可欠だと考えています。
──本日は貴重なお話をありがとうございました。
※記事内容は、インタビュー実施時期に基づいて作成しているため、会社名・役職等にその他一部の内容が現時点と異なる場合もあることをご了承下さい。
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