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財務デューデリジェンスの必要性

財務デューデリジェンス(以下、「財務DD」)とは、対象企業の経営成績や財政状態、資金繰りの状況を調査・報告することであり、M&Aや事業再生の現場で多く活用されます。

M&Aでは、買収前に潜在的な財務リスクを洗い出すことで、買収後に企業価値を毀損させるような予期せぬ事象が生じることを防ぐ必要があります。また、事業再生では、実態純資産が債務超過である場合、債務超過を解消することが金融機関に債務を繰り延べてもらうための要件の1つであるため、事前に財政状態を調査する必要があります。

一般的に、BS面では資産であれば含み損の存在や潜在的な減損リスクがないことを、負債であれば簿外債務がないことを明らかにし実態純資産を算定します。PL面では通常の営業活動によって獲得できる正常収益力を算定することをいいます。また、事業再生の現場ではさらに清算時の換金価値を試算するために、清算BSや破産配当率を算定します。金融機関が、対象企業が事業を継続した場合と清算した場合の回収額を比較できるようにするためです。

M&Aや事業再生の現場で財務DDは多く活用されますが、状況によってその必要性は異なるため、具体的な調査項目を明らかにしながらその必要性について説明します。

1. 実態純資産の算定方法

財務DDでは含み損や簿外債務等の財務リスクを反映した実態純資産を算定します。監査を受けている会社法上の大企業や上場企業であれば、含み損や簿外債務が新たに発覚する可能性は大きくないと考えられますが、監査を受けていない企業の場合には含み損や簿外債務が存在しているケースは多いので留意する必要があります。

財務DDで特に留意する必要があるのが、資産側ではいわゆる会計上の見積もりが必要となる勘定科目です。つまり、売上債権の回収可能性や、棚卸資産の収益性の低下や滞留在庫による評価損の計上、固定資産の減損、投融資の時価評価や繰延税金資産の回収可能性の判断等です。また、監査を受けていない企業の場合、いわゆる税務会計の名残で開発費や研究開発費が資産計上されているケースや、経営者の購入した個人資産がBSに計上されているケースもあります。また、負債側では引当金に留意が必要です。将来損失が発生するリスクがある場合は引当金の計上が必要となるからです。

また、海外の企業をM&Aする場合は、対象会社の会計基準がIFRSやUS-GAAPだったりもします。IFRSやUS-GAAPを採用している企業の場合は、のれん等の無形固定資産の評価が重要です。特にM&Aを繰り返す企業では多額ののれんが計上されていることが多いものの、IFRSやUS-GAAPではのれんの償却が行われないため、その資産性の判断が重要となります。

過去には東芝のように在外子会社の経営難により、今まで償却していなかったのれんを多額の減損処理したことで、窮境に追い込まれた例がありましたが、このようなグローバルM&Aでは特に財務DDによるリスクの事前の把握が重要と言えます。

2. 正常収益力の算定方法

BS面で含み損や簿外債務を把握すると、当然にPL面での調整が必要となります。例えば棚卸資産に含み損が存在し、実態純資産の算定のため棚卸資産を評価減する場合には、当然棚卸資産の評価損をPL側で調整する必要があります。また、退職給付引当金や返品調整引当金等、将来支払う可能性が高いにも関わらず引当金として計上していないようなケースでも、実態純資産の調整と同時に引当金の繰入額をPL側で調整する必要があります。

正常収益力とは、正常な営業活動のもとで対象企業が本源的に持っている収益獲得能力のことを指します。そして正常収益力を示す指標として調整後のEBITDA(Earnigs Before Interst, Tax, Depreciation and Amortization:支払利息・税金・償却前の利益)が使用されることが一般的です。

棚卸資産の含み損や引当金の計上は特に監査を受けていない中小企業に多い調整項目です。一方、監査を受けている企業のM&Aでは、事業の清算や売却、M&A等に生じた事業単位の変化の影響や、重要な顧客との取引の開始や中止による収益力への影響、実行中のリストラのうち実現可能性の高いコスト削減の効果などが調整項目となります。

正常収益力は特にM&Aの場面で重要視されますが、理由としては、M&Aにおけるバリュエーション手法が資産価値によるアプローチではなく、DCFのような収益価値によるアプローチが重視されているためであり、正常収益力が企業の収益価値を図る1つの指標となるからです。

財務デューデリジェンスの必要性

財務デューデリジェンスでは、BS面では実態純資産の算定を通じて財務リスクを顕在化させ、PL面では正常収益力の算定を通じて対象企業の本源的な収益獲得能力を算定します。利害関係者は財務DDによって事前にリスクを把握することが可能となり適切な意思決定を行うことが可能となります。そのために財務DDは必要なのです。