IPO費用はいくらかかる?準備から上場までの費用相場や内訳を詳しく解説

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IPOを目指す企業にとって、上場準備には多額の費用がかかることが一般的です。

監査法人への報酬、証券会社への手数料、システム整備費用など、さまざまな費用項目が存在し、その総額は企業規模によっては数億円に達するケースもあります。

IPO費用を正確に把握し、計画的に準備を進めておくことは、上場を成功させるための重要な要素といえます。この記事では、IPO費用の全体像から具体的な内訳、相場感、そして費用を効果的に抑えるための実践的な方法まで、詳しく解説します。 

IPO費用とは

IPO費用の定義と重要性

IPO費用とは、企業が株式を証券取引所に新規上場させるために必要となる費用全般を指します。これには、上場準備段階から上場後の維持までに発生する幅広い支出が含まれます。 

IPO費用を正確に把握することは、経営判断において極めて重要といえます。上場には多額の資金が必要となるため、事前に総費用を見積もり、資金計画を立てることが求められます。また、費用対効果を検討することで、IPOが自社にとって本当に適切な選択肢なのかを判断する材料にもなります。 

企業がIPOを実現するためには、財務諸表作成の体制構築、内部統制の整備、開示体制の確立など、上場企業としての基準を満たす必要があります。これらの準備には専門家のサポートが必要となることが多く、そのための費用が発生します。さらに、上場後も継続的に発生する費用があるため、長期的な視点での資金計画が求められます。 

IPO費用が発生する期間と全体像 

IPO費用は、上場準備を開始してから、実際に上場が承認され、株式公開が完了するまでの期間にわたって発生します。一般的に、IPO準備には2年から3年程度の期間が必要とされることが多く、その間継続的に費用が発生し続けます。 

準備段階で発生する監査法人への報酬や、内部統制の構築、会計システムの整備費用などは、損益計算書(P/L)上の費用として計上され、期間利益に影響を与えます。一方、上場時に証券会社へ支払う引受手数料などは、会計上「株式発行費」として扱われ、原則として支出時に営業外費用としてP/Lに計上されます。会計基準上、繰延資産としての計上も認められていますが、上場準備企業においては透明性と保守性の観点から、支出時に一括で費用処理する実務が一般的です。IPOの予算管理においては、これら「利益を押し下げる支出」と「調達資金から充当される支出」を明確に区別して把握しておく必要があります。

IPO費用の内訳

準備段階でかかる費用 

準備段階は、IPO費用の中で最も長期間にわたり、かつ総額が大きくなる傾向がある段階です。この段階では、上場企業としての体制を構築するためのさまざまな費用が発生します。 

監査法人への報酬は、準備段階における主要な費用項目の一つです。IPO準備企業は、通常2期分の監査済み財務諸表が必要となるため、最低でも2年間の監査契約が必要です。監査報酬は企業規模や業種、複雑性によって異なりますが、年間で数百万円から数千万円程度が相場とされています。 

IPOコンサルティング費用も確認しておくべき項目です。多くの企業は、IPO準備の経験が豊富なコンサルタントに依頼し、上場準備全体のサポートを受けています。コンサルティング費用は、支援内容や期間によって異なりますが、総額で数百万円から数千万円程度が見られます。 

内部統制の構築や業務プロセスの見直しのために、システム整備費用も発生します。会計システムの導入や改修、ワークフローシステムの構築、セキュリティ強化などが必要となり、数百万円から数億円程度の投資が必要になるケースもあります。 

さらに、IPO準備担当者の人件費も考慮すべき項目です。専任の担当者を配置する場合、その人件費は年間で数百万円から数千万円に達することがあります。また、既存社員の業務負担増加による追加の人件費も考慮する必要があります。 

申請・審査段階でかかる費用 

申請・審査段階では、上場申請書類の作成や審査対応のための費用が中心となります。この段階は準備段階に比べて期間は短いですが、集中的に費用が発生します。 

主幹事証券会社への引受審査料が主要な費用項目です。多くの証券会社では、準備段階から継続して月額顧問料を支払う料金体系を採用しており、引受審査対応もその顧問サポートに含まれています。証券会社は上場申請前に引受審査を実施し、その対価として審査料を受け取ります。引受審査料の相場は数百万円から数千万円程度とされています。 

上場申請書類の作成には、専門的な知識と経験が求められます。多くの企業は弁護士や公認会計士などの専門家に書類作成のサポートを依頼しています。これらの専門家報酬は、書類の複雑さや企業規模によって異なりますが、数百万円から数千万円程度が一般的です。 

目論見書などの印刷物や会社説明資料などの作成費用も発生します。目論見書は法定開示書類であり、一定の品質と正確性が求められます。また、会社案内資料についても、投資家向けに使用されることから、適切なデザインや情報整理が必要となり、一定の制作費用がかかります。印刷費用は数百万円程度が相場とされています。 

上場時にかかる費用 

上場時には、証券取引所への支払いや、株式の公募・売出に関する費用など、複数の費用が発生します。 

証券取引所に支払う上場審査料と新規上場料が必要です。東京証券取引所の場合、上場審査料は上場申請時に支払う費用で、グロース市場で200万円、スタンダード市場で300万円、プライム市場で400万円となります。さらに、上場が承認された後には新規上場料が発生し、グロース市場では100万円~、スタンダード市場では800万円~、プライム市場では1500万円~を支払う必要があります。 

株式の公募や売出を行う場合にも、証券取引所への料金が発生します。公募の場合は公募額の0.09%に相当する金額(公募株数×公募価格×0.09%)、売出しの場合は売出し総額の1万分の1に相当する金額を支払います。これらは株式を市場で販売するための手続き費用として必要となります。 

証券会社の引受手数料は、IPOによる資金調達における主要なコストです。引受手数料は、証券会社が新規株式の引受を行い、市場で販売するための手数料として設定され、公募総額の8%が一般的です。実務上ほぼすべての企業が採用する「スプレッド方式」では、公募価格と引受価格の差額が手数料となるため、引受手数料は損益計算書(P/L)上の費用として計上されません。一方、「外枠方式」では株式交付費として費用計上されます。 

スプレッド方式の場合、実際に会社に入金される額は引受価格(公募価格から手数料を差し引いた金額)となります。例えば、公募で10億円を調達する場合、引受手数料は5000万円から9000万円程度となり、会社への入金額は約9.1億円から9.5億円となります。そのため、資金計画を立てる際には、公募総額(グロス)ではなく、手数料を考慮した実質的な入金額(ネット)を基準に検討する必要があります。登録免許税も発生します。会社が新たに発行する株式に基づいて計算され、増加した資本金の額の0.7%が基本的な課税率として適用されますが、最低でも3万円が課税されます。 

費用項目 金額目安 備考
上場審査料 200万円〜400万円 グロース:200万円、スタンダード:300万円、プライム:400万円
新規上場料 100万円〜1500万円 グロース:100万円、スタンダード:800万円、プライム:1500万円
株式の公募・売出にかかる費用 公募:公募額×0.09%
売出:売出額×0.01%
証券取引所への手続き費用
証券会社の引受手数料 公募総額の5〜9% 最も高額な費用項目
登録免許税 増加した資本金の額×0.7%
(最低3万円)
増加した資本金の額に基づいて計算

上場後に継続的にかかる費用 

上場後も、上場企業として維持するための継続的な費用が発生します。これらの費用は毎年必要となるため、長期的な資金計画に組み込む必要があります。 

年間上場料は、証券取引所に毎年支払う費用です。東京証券取引所の場合、市場区分や時価総額によって異なりますが、年間数十万円から数百万円程度となることが一般的です。 

監査法人への継続監査報酬も毎年発生します。上場後は、財務諸表監査に加えて 内部統制監査(J-SOX監査)が義務化されるため、準備段階より監査業務が増加するケースが一般的です。年間で数百万円から数千万円程度の費用が必要とされています。企業規模が大きくなるにつれて、監査報酬も増加する傾向があります。 

IR活動費用も継続費用の1つです。決算説明会の開催、IRサイトの運営、統合報告書の作成、株主総会の運営などに費用がかかります。IR活動の充実度によって費用は大きく異なりますが、年間で数百万円から数千万円程度が一般的とされています。 

開示書類の作成費用も継続的に発生します。有価証券報告書、臨時報告書、四半期決算短信、適時開示資料などの作成には専門知識が求められることが多く、多くの企業は外部の専門家に支援を依頼しています。年間で数百万円程度の費用が見込まれます。 

証券代行機関への継続手数料も必要です。株主数の増加に伴い、手数料も増加する傾向があります。年間で数百万円程度が相場とされています。 

IPO費用の相場 

企業規模別の費用相場 

IPO費用は企業規模によって大きく異なります。売上高や従業員数、事業の複雑性などが費用に影響を与えます。 

売上高30億円未満の小規模企業の場合、IPO準備から上場までの総費用は5000万円から1億円程度が目安とされています。小規模企業は監査の範囲が比較的限定的であり、システム整備も最小限で済むケースが多いため、費用を抑えることが可能な場合があります。 

売上高30億円から100億円程度の中規模企業の場合、総費用は1億円から3億円程度となることが見られます。この規模になると、監査の範囲が広がり、内部統制の整備もより本格的に行う必要があるケースが増えます。また、システム投資も相応に必要となることがあります。 

売上高100億円以上の大規模企業の場合、総費用は3億円以上となることも珍しくありません。大規模企業は事業が複雑化していることが多く、監査に要する時間も長くなる傾向があります。また、グループ会社を含めた連結決算の整備や、高度な内部統制システムの構築が必要となるため、費用が増加することがあります。 

ただし、これらはあくまで目安であり、業種や事業内容、既存の管理体制の整備状況によって実際の費用は変動します。 

市場区分別の費用相場 

東京証券取引所には、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場区分があり、それぞれ上場基準や必要な準備が異なるため、費用にも差が生じることがあります。 

グロース市場は成長企業向けの市場であり、上場基準が比較的緩やかです。そのため、IPO費用も他の市場に比べて抑えられる傾向があります。グロース市場でのIPO総費用は、5000万円から2億円程度が一般的とされています。 

スタンダード市場は、一定の規模と実績を持つ企業が対象となります。グロース市場よりも厳格な基準が求められるため、準備により多くの費用が必要となるケースがあります。スタンダード市場でのIPO総費用は、1億円から3億円程度が目安とされています。 

プライム市場は、より高い水準のガバナンスと流動性が求められる市場です。上場基準が最も厳格であり、準備にも最も多くの費用がかかる傾向があります。プライム市場でのIPO総費用は、2億円から5億円以上となることもあります。 

市場区分の選択は、企業の規模や成長段階、資金調達ニーズなどを総合的に考慮して決定する必要があります。費用面だけでなく、上場後の企業価値向上や資金調達の機会なども含めて検討することが必要です。 

IPO費用の総額目安 

IPO費用の総額は、企業の規模、市場区分、準備状況などによって大きく異なりますが、一般的な目安を示すと以下のようになります。 

最も費用を抑えた場合でも、数千万円程度は必要となることが多いとされています。これは、小規模企業がグロース市場に上場する場合の最低限の費用水準です。 

大規模企業や事業が複雑な企業の場合、4億円を超えることも珍しくありません。特に、海外子会社を持つ企業や、複数の事業セグメントを持つ企業では、監査やシステム整備に多額の費用が必要となることがあります。 

また、IPO費用には上場後の維持コストも含まれます。上場後の年間維持費用は、企業規模にもよりますが、数千万円から1億円以上となることもあります。 

企業規模 IPO総費用の目安 上場後年間維持費用の目安
小規模
(売上高30億円未満)
5000万円~1億円程度 2000万円~5000万円程度
中規模
(売上高30億円~100億円)
1億円~3億円程度 5000万円~1億円程度
大規模
(売上高100億円以上)
3億円以上 1億円以上

IPO費用の具体的な項目と金額 

監査法人への報酬 

監査法人への報酬は、IPO費用の中で最も大きな割合を占める項目の一つです。

上場申請には、原則として2期分の監査済み財務諸表が必要となるため、最低でも2年間の監査契約が必要となります。具体的な内訳としては、本格的な監査に先立って企業の管理体制の課題を洗い出す「ショートレビュー(予備調査)」の費用から始まり、期中・期末ごとの会計監査報酬が発生します。

さらに、上場準備が進むにつれて財務諸表の監査だけでなく、内部統制報告制度(J-SOX)への対応に伴う監査報酬も加わることになります。このように、監査法人への支払いは、準備が進み体制が高度化するにつれて、段階的に増加していくという特徴があります。 

監査報酬は企業規模や業種によって異なりますが、近年の監査人不足に伴う報酬高騰により、IPO準備段階(N-2期以降)では年間1,500万円〜3,000万円程度を見込むのが一般的です。売上高10億円未満の小規模企業であっても、上場企業並みの監査品質が求められるため、最低でも1,500万円程度からのスタートとなるケースが増えています。 

監査報酬には、期末監査だけでなく、四半期レビューや期中の往査、内部統制監査なども含まれます。IPO準備段階では、通常の監査に加えて、ショートレビューと呼ばれる上場適格性の事前調査も実施されることが多く、これには別途数百万円の費用が発生するケースがあります。 

監査法人の選定は、費用だけでなく、IPO支援実績や業界知識、担当者の経験なども考慮して行う必要があります。大手監査法人は費用が高い傾向にありますが、IPO支援の経験が豊富であり、証券会社や取引所からの信頼も厚いという側面があります。 

主幹事証券会社への手数料 

主幹事証券会社への手数料は、IPO費用の中で最も高額な項目となることが多いです。主幹事証券会社は、上場準備の支援、引受審査、株式の引受、販売などを担当します。 

引受審査料は、上場申請前に証券会社が実施する審査の対価として支払われます。相場は数百万円から1000万円程度とされています。この審査は、証券取引所の上場審査とは別に行われ、企業の上場適格性を事前に評価します。 

最も高額なのは、上場時の引受手数料です。引受手数料は、公募による調達額の5%から9%程度が一般的とされています。例えば、公募で10億円を調達する場合、引受手数料は5000万円から9000万円となる計算になります。大型のIPOでは、この手数料だけで数億円に達することもあります。 

引受手数料の料率は、市場環境や企業の知名度、需要見込みなどによって変動することがあります。人気が高く、需要が旺盛と見込まれる案件では、料率が低くなることもあります。逆に、需要の不確実性が高い案件では、料率が高く設定されることがあります。 

主幹事証券会社の選定は、手数料だけでなく、上場に向けた審査・事務遂行能力、販売力、アフターフォロー体制なども考慮して行う必要があります。 

証券代行機関への手数料 

証券代行機関は、株主名簿の管理、配当金の支払事務、株主総会関連業務などを代行する機関です。上場企業には、これらの業務を信託銀行などの証券代行機関に委託することが求められています。 

証券代行機関への手数料には、初期費用と継続費用があります。初期費用は、システムの初期設定や株主名簿の移管などに必要な費用で、数十万円から数百万円程度が相場とされています。 

継続費用は、株主数に応じて変動します。株主数が少ない段階では年間数十万円程度ですが、株主数が増加するにつれて費用も増加する傾向があります。大規模企業で株主数が数万人に達する場合、年間数百万円以上の費用が必要となることもあります。 

株主総会の運営支援や議決権行使の集計などの業務には、別途費用が発生することもあります。これらの費用は、株主総会の規模や複雑性によって異なります。 

証券代行機関の選定にあたっては、手数料だけでなく、システムの使いやすさ、サポート体制、株主とのコミュニケーション支援機能なども考慮しましょう。 

上場審査料と年間上場料 

証券取引所に支払う費用には、上場時に一度だけ支払う上場審査料と、毎年支払う年間上場料があります。 

東京証券取引所の上場審査料は、市場区分によって異なります。グロース市場では200万円、スタンダード市場では300万円、プライム市場では400万円となっています。この費用は、取引所が実施する上場審査の対価として支払われます。 

上場審査では、企業の事業内容、財務状況、ガバナンス体制、コンプライアンス体制整備状況などが詳細に審査されます。審査期間は通常2ヶ月から3ヶ月程度ですが、追加資料の提出や説明が必要となる場合、さらに期間が延びることもあります。 

年間上場料は、上場を維持するために毎年支払う費用です。金額は市場区分と時価総額によって決まります。グロース市場では年間数十万円から、プライム市場では時価総額が大きい企業で年間数百万円程度となります。 

これらの費用は、他のIPO費用と比較すると相対的に少額ですが、必ず発生する固定費であるため、事前に予算に組み込んでおく必要があります。 

印刷費用 

IPO準備では、さまざまな書類を印刷する必要があります。主な印刷物には、目論見書、IR資料、上場申請書類などがあります。 

目論見書は、投資家に対して企業情報や株式の内容を説明する法定開示書類です。公募や売出を行う場合、目論見書の作成と印刷が必要となります。目論見書は一定の品質基準が求められ、また大量に印刷する必要があるため、数百万円の費用が発生することがあります。 

会社案内やIR資料の印刷費用も必要となることがあります。これらは投資家向けの説明会や証券会社への営業活動で使用されます。印刷そのものの費用は限定的ですが、デザインやページ数によって費用は変動しますが、数十万円から数百万円程度が一般的とされています。 

近年は、電子開示が進んでおり、紙の印刷物を削減する動きもあります。電子版の目論見書や会社案内を活用することで、印刷費用を抑えることが可能な場合もあります。ただし、重要な投資家向けには紙の資料を用意することも多く、完全に印刷費用をゼロにすることは難しい状況です。 

印刷会社の選定にあたっては、IPO関連書類の印刷実績、納期の確実性、品質管理体制などを確認することが重要です。 

IR関連費用

IR(Investor Relations)活動は、投資家とのコミュニケーションを円滑にし、企業価値を適切に伝えるための重要な活動です。IPO準備段階から上場後まで、継続的にIR活動の費用が発生します。 

IPO準備段階では、IRサイトの構築費用が必要となることがあります。企業情報、財務情報、株式情報などを掲載するIR専用サイトの構築には、数十万円から数千万円程度の費用がかかるケースがあります。サイトのデザインや機能性によって費用は変動します。 

上場後は、決算説明会の開催費用が継続的に発生します。会場費、資料印刷費、動画配信システムの費用などを含めると、1回の説明会で数十万円から数百万円の費用が必要となることがあります。年に複数回開催する場合、年間で数百万円以上の費用となるケースがあります。 

企業の成長フェーズやIR(投資家広報)の方針によっては、統合報告書やアニュアルレポートの作成を検討する場合もあります。これらの報告書は、企業の事業内容、戦略、財務状況などを包括的に説明する資料で、投資家とのコミュニケーションツールとなります。作成には、デザイン、執筆、印刷などの費用がかかり、数百万円程度が相場とされています。 

IR支援会社に委託する場合、月額数十万円から数百万円の顧問料が発生することがあります。IR支援会社は、IR戦略の立案、投資家との面談調整、開示資料の作成支援などを行います。 

IR活動項目 費用目安 発生頻度
IRサイト構築 数十万円〜数千万円程度 初回のみ
決算説明会 数十万円〜数百万円程度/回 年4回程度
統合報告書作成 数百万円程度 年1回
IR支援会社顧問料 数十万円〜数百万円程度/月 毎月

弁護士・税理士などの専門家報酬 

IPO準備では、さまざまな専門家のサポートが必要となることが多いです。弁護士、税理士、社会保険労務士など、それぞれの専門分野で支援を受けることになります。 

弁護士への報酬は、契約書のレビュー、法的リスクの洗い出し、上場申請書類の法務面のチェックなどの対価として支払われます。IPO準備全般の法務支援を依頼する場合、総額で数百万円から数千万円程度の費用が必要とされています。特に、複雑な契約関係や訴訟リスクがある企業では、より多くの法務支援が必要となり、費用も増加することがあります。 

税理士への報酬は、税務申告書の作成、税務リスクの診断、税務戦略の立案などに対して支払われます。上場企業には、適切な税務処理と開示が求められるため、専門的な税務支援が必要となるケースがあります。IPO準備期間中の税理士報酬は、年間で数百万円から数千万円程度が一般的とされています。 

社会保険労務士への報酬は、労務管理体制の整備、就業規則の見直し、労働法規の遵守状況の確認などに対して支払われます。上場企業には、適切な労務管理が求められるため、専門家の支援を受けることが推奨されています。費用は、支援内容によって異なりますが、数百万円程度が目安とされています。 

これらの専門家報酬は、企業の状況や必要な支援内容によって大きく変動します。早期から専門家と連携し、計画的に支援を受けることで、効率的に準備を進めることができる可能性があります。 

システム整備費用 

上場企業には、適切な内部統制システムと情報開示体制が求められます。そのため、IPO準備では、会計システム、業務管理システム、セキュリティシステムなどの整備が必要となることがあります。 

会計システムの導入または改修は、多くの企業にとって必要な投資となる場合があります。上場企業には、正確かつタイムリーな財務報告が求められるため、高度な会計システムが必要となることがあります。近年はSaaS型の利用が一般的ですが、既存システムとの連携や、監査に耐えうる運用フローの構築支援(コンサルティング)を含めると、システムの規模や機能によって費用は大きく異なりますが、数百万円から数億円程度の投資が必要となるケースもあります。 

ワークフローシステムの導入も重要とされています。稟議書の承認プロセスや契約書の管理など、業務プロセスを可視化し、内部統制を強化するためのシステムが求められることがあります。導入費用は、システムの規模によって、初期のセットアップや業務プロセスの再設計費用として、数百万円から数千万円程度となることがあります。 

情報セキュリティの強化も必要とされています。上場企業には、個人情報や機密情報の適切な管理が求められます。セキュリティシステムの導入、社員教育、外部監査などに費用がかかり、総額で数百万円から数千万円程度が必要となる場合があります。 

既存システムの改修で対応できる場合もあれば、完全に新しいシステムを導入する必要がある場合もあります。自社の現状を正確に把握し、必要な投資を見極める必要があります。 

人件費

IPO準備にあたっては、専任または兼任の担当者を配置する必要があります。これらの人件費は、IPO費用の中で継続的に発生する項目です。 

専任の担当者を配置する場合、その年収分が直接的な人件費として発生します。IPO準備責任者クラスの年収は、800万円から1500万円程度が一般的とされています。チームで対応する場合、複数名分の人件費が必要となり、年間で数千万円に達することもあります。 

既存社員がIPO準備を兼任する場合でも、通常業務に加えて追加の業務負担が発生するため、追加の人件費が発生します。また、残業代の増加も考慮する必要があります。 

外部からIPO経験者を採用する場合、採用費用や高額な報酬が必要となることもあります。IPO経験者は市場価値が高く、通常の中途採用よりも高い報酬水準が求められることが一般的とされています。 

人件費は、金額として可視化されにくい項目ですが、IPO準備におけるコストであることを認識し、適切な人員配置と予算確保を行う必要があります。 

IPO費用を抑えるための方法 

早期からの計画的な準備

IPO費用を抑えるための効果的な方法の一つは、早期から計画的に準備を進めることです。十分な準備期間を確保することで、無駄な支出や急な追加費用の発生を防ぐことができる可能性があります。 

早期に準備を開始することで、各専門家との契約を有利な条件で締結できる可能性が高まります。時間的余裕があれば、複数の専門家から見積もりを取り、比較検討する時間を確保できます。また、長期契約を前提とすることで、単価を抑えられる場合もあります。 

内部統制の構築やシステム整備も、時間をかけて段階的に進めることで、一度に多額の投資をする必要がなくなる可能性があります。急いで対応すると、高額なシステム導入やコンサルティング費用が発生しやすくなります。 

財務体質の改善も、時間をかけて取り組むべき課題です。上場審査では、安定した収益性や健全な財務状態が求められます。早期から収益改善や財務健全化に取り組むことで、審査での指摘事項を減らし、追加の対応費用を抑えることができる可能性があります。 

また、社内の人材育成に時間をかけることで、外部専門家への依存度を下げることができる場合があります。社内にIPO関連の知識を蓄積することは、費用削減だけでなく、上場後の企業運営にも大きなメリットをもたらす可能性があります。 

適切な専門家の選定 

専門家の選定は、IPO費用を左右する重要な要素です。費用だけでなく、専門性、実績、自社との相性なども考慮して、適切な専門家を選ぶ必要があります。 

監査法人の選定では、大手監査法人と中堅監査法人の違いを理解することが重要です。大手監査法人は費用が高い傾向にありますが、IPO支援実績が豊富で、証券会社や取引所からの信頼も厚いという側面があります。一方、中堅監査法人は費用を抑えられる可能性があり、きめ細かい対応が期待できることもあります。 

証券会社の選定もIPO費用を左右する要素です。主幹事証券会社の引受手数料は高額ですが、販売力や上場後のサポート体制も考慮する必要があります。複数の証券会社から提案を受け、費用だけでなく、支援内容を総合的に比較検討することが推奨されます。 

IPOコンサルタントについては、全ての支援を一社に委託するのではなく、必要な領域ごとに専門性の高いコンサルタントを選定することで、費用を最適化できる場合があります。例えば、内部統制構築は内部統制専門のコンサルタント、労務管理は社会保険労務士といった形で、専門分野ごとに選定することが考えられます。 

専門家との契約では、成功報酬型や段階的な支払い条件を交渉することも検討すべきです。これにより、初期の資金負担を軽減できる可能性があります。 

社内体制の整備による外部委託費用の削減 

社内の体制を整備し、可能な業務を内製化することで、外部への委託費用を削減することができる場合があります。 

例えば、上場申請書類の一部や、社内規程の整備、内部統制文書の作成などは、適切な指導を受ければ社内で対応可能な場合があります。 

財務・経理部門の強化も効果的とされています。財務報告の精度を高め、月次決算を適切に行える体制を構築することで、監査法人の作業負担を軽減し、監査報酬を抑えられる可能性があります。 

IR活動についても、基本的な投資家対応やIRサイトの更新などは社内で対応できる体制を整えることで、IR支援会社への委託費用を削減できる場合があります。ただし、重要な投資家との面談や決算説明会などは、専門家のサポートを受けることが推奨されています。 

社内にIPO関連の知識を蓄積するために、社員教育に投資することも長期的には費用削減につながる可能性があります。外部のセミナーや研修に参加させることで、社内の専門性を高めることができます。 

補助金・助成金の活用 

IPO準備における社内体制整備には、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用できる場合があります。これらの制度を利用することで、費用負担を軽減することが可能です。 

経済産業省や中小企業庁が提供する補助金制度には、IPO準備企業が活用できるものがあります。例えば、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」などは、システム整備費用の一部を補助対象としている場合があります。 

地方自治体によっては、地域企業のIPO支援を目的とした独自の補助金制度を設けている場合があります。本社所在地の自治体に確認し、利用可能な制度がないか調査することが推奨されます。 

補助金の申請には、一定の要件を満たす必要があり、また申請書類の作成にも手間がかかります。しかし、費用負担の軽減効果は大きいため、積極的に活用を検討すべきとされています。 

補助金情報は、中小企業基盤整備機構(中小機構)や商工会議所などから入手できます。また、顧問税理士や中小企業診断士に相談することで、適切な補助金制度の紹介を受けられる場合もあります。 

補助金の活用にあたっては、申請期限や交付時期、報告義務などをしっかり確認し、IPO準備スケジュールと整合させることが必要です。 

IPO費用に関する注意点 

想定外の追加費用が発生するケース 

IPO準備では、当初の計画では想定していなかった追加費用が発生することがあります。これらのリスクを事前に理解し、予備費を確保しておくことが大切です。 

上場審査で指摘事項が多く出た場合、その対応のために追加の費用が発生することがあります。例えば、内部統制に重大な不備が発見された場合、緊急でシステム改修やコンサルティングが必要となり、数千万円の追加費用が発生することもあります。 

子会社や関連会社の整理が必要となる場合も、想定外の費用が発生することがあります。グループ構造の整理、不採算事業からの撤退、関係会社の清算などには、法務費用や税務費用が発生します。 

訴訟やクレームなどの法的リスクが顕在化した場合、その対応費用も考慮する必要があります。上場審査では、法的リスクについて詳細な説明が求められるため、未解決の訴訟や重大なクレームがある場合、弁護士費用や和解金などが必要となる場合があります。 

労務問題への対応も追加費用の原因となることがあります。未払残業代の清算、退職金制度の見直し、労働時間管理システムの導入などが必要となる場合、数百万円から数千万円の費用が発生することがあります。 

費用対効果を見極めるポイント

IPOには多額の費用がかかるため、その費用対効果を慎重に見極める必要があります。そのため、IPOによって得られるメリットと、費用や上場後の負担を比較検討することを推奨します。 

IPOによって得られる主なメリットには、資金調達の容易化、知名度の向上、社会的信用の獲得、従業員のモチベーション向上、創業者の株式売却機会の獲得などがあるとされています。これらのメリットが、IPO費用や上場後の継続費用を上回るかを検討する必要があります。 

資金調達の観点では、IPOによる調達額と、他の資金調達手段(銀行借入、ベンチャーキャピタルからの出資など)とのコストを比較することが重要です。IPOによる資金調達は、返済義務がないというメリットがありますが、引受手数料が高額であるという側面もあります。 

上場後は、情報開示義務が発生し、経営の自由度が制約される面もあります。四半期ごとの決算開示、適時開示、株主総会の運営など、上場企業特有の義務を果たすための費用と労力が継続的に必要となります。 

企業の成長段階や事業特性によっては、IPO以外の選択肢(M&Aによるイグジット、非上場のまま成長を続けるなど)の方が適している場合もあります。自社にとって最適な戦略を見極めることが重要です。 

資金繰りへの影響と対策

IPO準備には多額の費用が長期間にわたって発生するため、資金繰りへの影響を十分に考慮する必要があります。適切な資金計画を立てずにIPO準備を進めると、資金繰りが逼迫し、事業運営に支障をきたすリスクがあります。 

IPO費用の支払いスケジュールを事前に詳細に把握することが重要です。監査報酬、コンサルティング費用、システム整備費用など、各費用項目がいつ、どのくらいの金額で発生するかを明確にし、資金計画に反映させる必要があります。 

特に、上場申請期には、引受手数料や印刷費用など、一度に多額の支出が発生します。この時期に十分な資金を確保できるよう、事前に資金調達を検討することが推奨されています。 

IPO準備資金の調達方法としては、銀行借入、ベンチャーキャピタルからの出資、補助金の活用などが考えられます。それぞれの方法のメリット・デメリットを理解し、自社に適した方法を選択することが重要です。 

また、事業のキャッシュフローを改善し、内部留保を増やすことも重要な対策です。IPO準備と並行して、本業の収益性を高め、資金を内部で創出できる体制を構築することが理想的とされています。 

資金繰り計画は、楽観的なシナリオだけでなく、最悪のシナリオも想定して策定することが推奨されています。IPO時期が遅れた場合や、想定外の費用が発生した場合でも、事業運営を継続できるだけの資金的余裕を持つことが重要です。 

まとめ 

IPO費用は、企業規模や市場区分によって異なりますが、一般的に5000万円から数億円程度が必要とされています。費用の内訳は多岐にわたり、監査報酬、証券会社への手数料、システム整備費用、専門家報酬などの項目が含まれます。

さらに、上場後も継続的に費用が発生するため、長期的な視点での資金計画が求められます。IPO費用を抑えるためには、早期からの計画的な準備、適切な専門家の選定、社内体制の整備、補助金の活用などが有効とされています。

IPOは企業の成長にとって大きな転機となりますが、その実現には多額の費用と労力が必要です。費用対効果を慎重に見極め、自社にとって最適なタイミングと方法でIPOを実現することが重要といえます。 

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